元同級生たち

 

台風が来る直前,能勢の農場まで車を走らせた。目的は,丹波黒枝豆の収穫。

退職後に始めた農作業が楽しい! と,高校3年のミニクラス同窓会で,ある元同級生が近況を報告したのがきっかけ。

農作業がどんなに素晴らしいかという話に盛り上がり,じゃ,次は枝豆をみんなで収穫しようということになった。

 

日程は,海外在住組が帰国する10月に設定したが,季節はずれの台風が来るらしい。60歳代の面々で構成されるグループラインでは,1週間前から激しく情報が交わされた。

 

当日,台風は,予報通り関西に接近してきたが,予定した全員,当然のごとく参加。

 わたしも,珍しく早起きして,1000円でゴム長を購入し,雨の中の農作業に備えた。

農場主は,予報を聞いて,前日に8人分の倍以上の枝豆を一人で収穫してくれていたが,せっかくだからと,ゴム長で畝に入り,人参の間引きを依頼されたついでに間引きを終えていた大根まで抜かせてもらう。

丁寧に整備された畝の土は柔らかくて,人参も大根も気持ちよく次々引き抜いてしまった。

下津葱ももらった。メンバーの女性が「これって,スーパーで一束298円するやつやん」と感嘆。「好きなだけ持っていって」と言われて,彼女以上に大阪のおばちゃん気質を発揮した。

 

近所のバラックで,地元の野菜と丹波牛肉のバーベキューを楽しみ,台風の風が激しくなるなか,農場主夫妻に誘導され,山越えドライブで帰ってきた。

 

結局,農作業といえるようなことはできなかったが,自然の中で元同級生のメンバーたちと過ごした数時間は予想以上に貴重なものとなった。

 

実は,わたし,このメンバーは,みんないい人すぎて,毒がないよねえ,と少々物足りなく思っていた。 

でも,自然体で一緒にいられるグループに交じっているって,楽だ。

高校時代なら,そんな普通のことには退屈していたはずなんだけど。

 40年以上,それぞれの生活ではいろいろあっただろうけど,みんな高校のころと変わらない素直さをどこかに残していて,集まれば,そんなピュアな部分が響きあうのかもしれない。

 

わたしも,普通のことがつまらないと決めつけるとんがった年齢でなくなったのかな。

来年もやろうね,と,誰かが言い出すのを心待ちにしている。