ご飯をめぐる攻防
母は,夕食どきになると,「ご飯炊かなきゃ!」という思いに駆られるようだ。
「帰ったら作るから待っててね」と置手紙をしていても,読んだことを忘れている。
なのに,なぜか数年前に私がストウブ鍋で何度かご飯を炊いたことは覚えていて,毎晩,重いストウブ鍋を取りだし,米と水を入れて適当な火加減で「煮る」ようになった。
芯の残ったご飯を雑炊にアレンジして食べなければならない日が続いた。
母は,その都度,「美味しいね」と言ってくれるが,私の方が降参。
そこで,ストウブ鍋は奥にしまって,「ご飯は炊飯器で炊こう!」と張り紙をすることにした。
ちゃんと理解してくれたようだが,毎日,帰宅すると,炊飯器でご飯2合が炊きあがっている。
二人では食べきれないので,どんどん冷凍庫に溜まっていく。
だから,今度は,「ご飯はあります。炊かないでね」と炊飯器に張り紙をした。
母は,張り紙を剥がしてまで炊飯器を使うことはなくなり,大成功!
と,思ったのはつかの間。次には,冷凍ご飯をオーブンレンジに入れて,オーブンのダイヤルをまわしたらしく,帰宅すると,溶けだした容器がガラス皿にへばりついていた。
容器はもちろん,ご飯もガラス皿もだめになった。あーあ!
負けるもんかと知恵を絞り,次は,オーブンレンジに「壊れています。使えません!」と張り紙。
これで,しばらくの間は諦めてくれていた。
ところが,敵もさるもの。最近,鍋に水を張って,冷凍ご飯を蒸すようになった。
5人分か,と思う量は我慢しよう。でも水が無くなってしまうのが心配だと思っていたら,先日は,容器と鍋の大きさのミスマッチが発生。大きな容器が小さな鍋からはみ出して端が溶けだし,鍋に密着していた。
そろそろガスの元栓を閉めて出かけた方がいいのか,,。
そうすると,オーブンレンジの張り紙ひっぱがして,また容器を溶かしてしまうのではないか,,。
ご飯をめぐる母との攻防に終わりは見えない。