庭の剪定(2019.5.12 母)

この家を購入して移り住んだのは2005年3月。

駅から遠くても庭のある家がいいね,と夫と相談して決めた。

でも,その3年半後,夫は死亡し,入院期間を差し引けば3年弱しかこの家に住めなかった。

転居したとき,子どもたちは小学校6年生と2年生。夫は,週末ごとにホームセンターに行き,庭のメンテナンスのためのあれこれを購入し,子どもたちの世話に通ってくれていた母と一緒に煉瓦積みなどして楽しんでいた。

 

夫死去後,もともと草木が好きな母は,家族を楽しませようと日々庭作りに精を出してくれた。薔薇や季節の花々であふれた大量の写真は,当時のプレゼントの記念だ。

母が野菜くずをせっせと埋め続けてくれたおかげで,小夏は,数年前まで,毎年貰い手に困るほどたくさんの実をつけてくれていた。

 

夫が亡くなって20年が過ぎた。

父も亡くなり,子どもたちは仕事を持って遠方に住むようになった。

母は,長谷川式検査で数字が出ないほど重い認知症になった。

 

あっという間の20年間。

ずっと庭の手入れは母任せだった。たまに手伝おうとしても,自分流のやり方がある母と衝突してしまうので,私は全面降伏したふりをして,楽をしていた。

数年前から母は庭に出ようとしなくなり,植木屋さんに年1度の剪定を任せることでよしとしていた。

地震と猛暑と台風にやられた昨年は,植木屋さんが超多忙らしいと聞き,その剪定依頼さえ先延ばしになっていた。

 

4月に入って昼が長くなったころから,急に荒れ放題の庭が気になりだした。

連休中,帰宅した息子に手伝ってもらって雑草をきれいに刈り,数本の枯れ木をのこぎりで切って,自然生えの葡萄の巨大な根っこを引き抜いたら,私の庭への関心に突然火が付いた。

見渡すと,庭中の植栽がうっそうと茂っている。枝や葉が混んでくると虫も発生しやすいらしい。とにかく風通しをよくしなきゃと思い,母のデイサービスの迎えを待つ間,庭ハサミを持って手近なところを切り始めたら,次々と気になるところが見つかる。

昨日からの晴天の週末。朝と夕方の陽射しが強くない時間帯を狙って,庭に出た。

 

いろんな木の葉っぱの裏に張り付いている毛虫を発見。伸びた若枝を切るのを最初は躊躇したが,自己流に次々切ってみたら,植木屋さんの仕上がりとあまり変わらないと一人悦に入る。

ここまでやったら,いまさら植木屋さんに頼むのはもったいない。秋まで持たせよう。

 

それにしても,久しぶりの自然との格闘。

昨年の猛暑で枯れてしまったと思っていたアジサイが,別の新しい枝をたくさん延ばして元気な葉を付けていることに驚く。トキワマンサクは,花が咲いたときだけ目をとめる存在だったが,こんなに好き勝手な方向に枝を伸ばしていたんだ。良い香りを楽しませてくれているジャスミンが,これほど他の植物を侵食する意地悪をしていたなんて!

髙く伸びた大きな樹は秋に植木屋さんにお願いするしかないと思いつつも,この調子でいけば,手の届くところだけでなく,脚立に乗って剪定に熱中しそうだ。

90リットルのビニール袋に次々を枝葉を入れてゴミ出しをすると,申し訳ない量になってしまった。

今週末は,ホットヨガに行けなかったけれど,それと同じくらい汗をかいた。

 

これ,わたしの新しい趣味になるかも。